【スポーツドクターのアドバイス】①ランニング障害とランニングシューズ

「はじめて京都マラソンに臨まれるランナーの皆さんへ」

京都マラソンは今年で7回目を迎え毎年人気が高まってきています。今年の希望者の倍率は4.2倍となりました。京都市内の名所を周回しながらのコースは古都を満喫できる魅力あるコースと認知され、国内各地だけでなく海外からも多くのランナーを引き付けています。このコース設定は京都陸上競技協会の担当の皆様の御苦労によって成り立っているものと感謝しています。

2017大会からはサブ3.5・サブ4応援枠も新設され京都マラソンのコースを走ってみたいと切望しているランナーの皆さんの心をくすぐっています。私も前回大会時に男性では3時間30分以内、女性では4時間以内を目指すランナーの方々へのランニングフォームを含めた「サブ3.5・サブ4応援」アドバイスを書かせていただきました。

今回は、フルマラソンに初めて挑戦される方や京都マラソンの抽選に初めて当選された方に「はじめて京都マラソンに臨まれるランナー皆さんへ」と題したお話をさせていただきます。

【ランニング障害とランニングシューズ】
最近はテレビドラマでも駅伝やマラソンを題材にした人気番組もあります。その中では登場人物のランニングによるスポーツ障害のことやランニングシューズのことが具体的に取り上げられ、ドラマのテーマになっていました。
ランニングは身体に良いスポーツとの認識で始められている方が多いと思いますが、ランニング障害は一般の方にも起こりうるトラブルです。しかし、テレビドラマのエリートランナーに生じるランニング障害と初心者の方に生じやすいランニング障害は異なることが多いです。この原因はランニングを始められたランナーの皆さんとスピードを追求するエリートランナーでは、ランニングフォームも異なるために負担のかかる部分も異なっていることも要因となります。

テレビドラマではお尻の付け根の肉離れのような怪我が取り上げられています。私の患者さんでもオリンピックの女子マラソンで金メダルを取った選手や他の競技でも女子サッカーのワールドカップで金メダルを獲得した選手のようなハイレベルな競技選手に見うけられます。しかし、ごく一般的な市民ランナーの方々では同じ個所の怪我は稀です。市民ランナーの方に多く見うけられるのはふくらはぎや膝周辺の痛みの訴えです。テレビドラマの話題と市民ランナーの障害の違いを認識したうえで、ぜひ2016年のランニング障害予防アドバイス「ランニングによる障害発生の原因と誰にでもできるセルフケア」を参考にして障害とその予防に関する知識を増やしてください。

ランナーの大切な用具にランニングシューズがあります。足の筋肉を高度に鍛えたエリートランナーではソールと呼ばれる靴底のクッションは必要最小限でよく、着地の衝撃は自分の足の筋力でカバーし、反発性を重視した靴で重量を軽量化したものが好まれます。しかし、このように衝撃吸収を減らして、反発性を重視したシューズなら誰にでも早く走れるものと思い違いをしてしまうと大変です。ソールを薄くして軽量化したシューズを急に初心者の方が使うことは、筋肉のダメージを生じたり、着地の衝撃を緩和できないことが原因で、足首、膝、股関節などの体重を支えるための関節に負担がかかってしまい関節に怪我の原因を作ってしまいます。自分の能力にあったシューズを選択することは故障することなくランニング長く続けるためにも大切な点です。